法改正

【債権の譲渡における相殺権】民法改正2020年4月1日施行の基本と要所の解説(第469条)

債権というのは譲渡することができました。この譲渡を止めることはできません。しかし、めちゃくちゃな譲渡をされても困るので、様々なルールが作られていました。その中で、債務者が債権者に対して、債権を持っており、債権の相殺をしようと思っている場面で、譲渡されてしまったらどうでしょうか。非常にややこしいことになりそうです。

 

今回は債務者が相殺できる債権をもっている時の、債権の譲渡について解説していきたいと思います。

 

469条の条文

(債権の譲渡における相殺権)
第469条
1 債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。
2 債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、その債権が次に掲げるものであるときは、前項と同様とする。ただし、債務者が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。
一 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権
二 前号に掲げるもののほか、譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権
3 第466条第4項の場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「対抗要件具備時」とあるのは、「第466条第4項の相当の期間を経過した時」とし、第466条の3の場合におけるこれらの規定の適用については、これらの規定中「対抗要件具備時」とあるのは、「第466条の3の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする

改正された469条では、対抗要件具備時より前か後で、相殺ができるかどうかを分けています。まずは、相殺と対抗要件具備時の語句について詳しく解説していきます。

 

 

相殺とは

相殺は互いのもつ債権をぶつけて、消滅させる行為です。

例えば、AさんがBさんに100万円の債権を持っているとします。次にBさんはAさんに50万円を持っていたとします。この場合、AさんとBさんが互いにもつ債権が重なっていますので、相殺の意思表示をすると、相殺され消滅した結果、差額のAさんがBさんに50万円の債権だけが残ります。

 

上の図のように、AさんはBさんに100万円貸していましたが、BさんがAさんにもつ債権と相殺することで、残ったのはAさんがBさんに50万円返してくださいといえる債権だけになりました。

相殺のルールは民法の505条に記されています。

(相殺の要件等)
第505条
1 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定にかかわらず、当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。

相殺について、詳しくみると、互いに債権をもっている時は、どちらかが相殺の意思表示をすることで債務の消滅をすることができます。ただし、双方の債務が弁済期に来ている必要があります。

弁済期というのは、例えば、1年後に返すという約束をしていた場合は1年後が弁済期です。要するに返さないといけない時になります。
なので、相殺ができるのは双方ともに債務を返さないといけない時期が来ている場合のみとなります。
 
互いに返す時期が来ている債権同士を消滅させましょうねというのが相殺なのです。

 

対抗要件具備時とは

対抗要件具備時の解説の前に、今回の譲渡の場合の相殺とは、次のような場合を想定しています。

例えば、Bさんに100万円の債権をもっているAさんが、Cさんに100万円の債権を譲渡してしまったとします。しかし、BさんはAさんに200万円の債権を持っていたため、相殺をするつもりでした。なので、Bさんからすると、「相殺するつもりだからCさんにはお金を支払わないよ」といえるかどうかということが問題となってきます。

 

上の図のような場合の時に、Bさんがもつ債権が「対抗要件具備時」より前に取得した債権であれば、相殺ができるというのが469条です。後であった場合は特殊な場合のみ相殺できるというルールになっています。

対抗要件具備時というのは、譲渡人が債権譲渡の通知をした時か、債務者が債権譲渡を承諾した時のことです。

具体的に言うと、Aさんが債権の譲渡をしましたという通知(報告)をBさんにした時よりも前に、Bさんが債権を持っていた場合は、相殺できるということになります。

また、譲渡されたCさんがBさんの家に行って、債権の譲渡をされましたよと告げ、それに債務者が承諾した旨を伝えた時も対抗要件具備時になります。なので、債権の譲渡が行われ、それを債務者が知るより前に行なわれていた債権に関しては、相殺ができるということになります。

 

 

対抗要件具備時より後の場合

対抗要件具備時は、譲渡が行われた後なので、その後というのはかなり遅い段階になりますが、その場合は相殺ができません。

しかし、次の場合は対抗要件具備の後でも相殺ができます。

一 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権
二 前号に掲げるもののほか、譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権

 一の対抗要件具備時の前の原因とは、主に損害賠償請求などまだ債権として確立していない場合です。債権は生じていないけども、既に原因があるような時ですね。
 二は、譲渡された債権と同じ契約に基づいて、債務者の譲渡人に対する債権が発生している場合です。

 

継続的な取引をイメージして、将来に発生する債権が想定されているのだと思います。

 

 

469条の注意点

相殺は双方の債務が弁済期の後にならないとできませんでした。そのため、対抗要件具備時の時に弁済期が来ておらず、相殺ができないという場合も考えられます。

しかし、「対抗要件具備時より前に取得した」とあるので、弁済期が来ていなくても問題ありません。

元々、民法468条で、譲渡に関する対抗要件で相殺は入っています。

 

第468条
1 債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。

468条では、譲渡人対して生じた事由とあるので、相殺もその事由になりえます。しかし、相殺は弁済期が来ていないとできません。そのため、弁済期が来ていなくても、債権を取得さえしていれば、相殺ができると明記する必要があったのです。

 

 

まとめ

相殺とは、互いに持っている債権をどちらかが相殺の意思表示を示すことで消滅させることでした。(ただし、両方とも弁済期に来ている必要があります。)

債務者が相殺できる債権を譲渡人に持っている時に、譲渡人が譲受人に譲渡した場合、対抗要件具備時より前に取得した債権であったら、相殺することができました。

対抗要件具備時とは、譲渡人が債権譲渡の通知をした時か、債務者が債権譲渡を承諾した時です。

対抗要件具備時の後に取得した債権でも、対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権や譲渡された債権と同じ契約に基づいて、債務者の譲渡人に対する債権が発生している場合は、相殺することができます。

基本的に相殺できる債権をもっている場合は、譲渡がされた場合でも、相殺できるということですね。
 





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