法改正

【償還をする資力のない者の負担部分の分担】民法改正2020年4月1日施行の基本と要所の解説(第444条)

連帯債務者が弁済をしますが、特定の1人が全額弁済した場合などに、他の債務者に求償することができます。しかし、求償しても、もし連帯債務者のうちの1人が求償に応じる資力がなくなった場合はどうなるのでしょうか。

今回は、資力のない債務社が出てしまった場合の他の債務者の負担について解説していきたいと思います。

 

条文の変化

【改正前民法】

(償還をする資力のない者の負担部分の分担)

第444条

 連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担する。ただし、求償者に過失があるときは、他の連帯債務者に対して分担を請求することができない。

【改正後民法】

(償還をする資力のない者の負担部分の分担)

第444条

1 連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担する。

2 前項に規定する場合において、求償者及び他の資力のある者がいずれも負担部分を有しない者であるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、等しい割合で分割して負担する。

3 前二項の規定にかかわらず、償還を受けることができないことについて求償者に過失があるときは、他の連帯債務者に対して分担を請求することができない。

 

改正後444条は、改正前から項目が増え3項になりました。改正前の本文は1項に、ただし書きは3項になり、2項は新設されました。

 

 

償還する資力がない時はどうなる

連帯債務者という制度は、元々複数の債務者を立てることで、弁済を確実にする人的保証の1つでした。なので、連帯債務者の誰かの資力がなくなり、弁済できなくなるということは十分にありえます。

 

もちろん、債権者は安定して債権を回収したいと考えるはずなので、資力が十分にある債務者から回収をします。しかし、特定の債務者だけから回収すると、連帯債務者同士に不公平感がでてしまいます。

 

そのための対策が、442条の連帯債務者間の求償権でした。しかし、求償しても償還(返ってくる)する力がなく、償還されない場合もあります。

資力がない(無資力)というのは、財産より債務が超過している状態を言います。

 

 

この場合の「償還する資力」とは、求償をした場合に支払うことができる力のことです。

こうした力がない場合は、444条1項に「求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担する」とあります。

例えば、上の図のように、3人の連帯債務者がいて、連帯債務者Aが全額弁済したとします。連帯債務者A、B、Cは元々6:2:2で弁済するという約束(契約)をしていました。

このような時に、連帯債務者Aは他の債務者に約束通りの割合分を求償することができます。(442条)

しかし、連帯債務者Cが求償に対して、償還する資力がなくなってしまいました。(Cが破産したとします)この時、本来Cが弁済するはずだった2割をA、Bに均等に割るというのが444条1項と2項になります。

つまり、7:3:0という割合に変更されるため、AはBに対して、2割ではなく3割で求償の請求ができるということになります。

 

Cから返してもらうことは不可能なので、A、Bでうまくやってくださいねというのが444条の1、2項の簡単なイメージです。

 

 

444条3項のポイント

444条3項は改正前のただし書きが独立したものです。3項では、求償を請求する人、この場合では連帯債務者Aさんに過失がある場合は、BさんにCさんの負担分を請求することはできないというものです。

例えば、連帯債務者Aが素早く求償を求めていれば、Cから償還することができたにもかかわらず、忘れていたなどの過失があり、Cが償還する資力がなくなってしまったという場合です。

この場合、BにCの部分の負担を求めることはできず、従来の約束通りの2割しか求償できません。

 

連帯債務者Bからすると、Aに過失があるのになぜ自分がCの負担をしないといけないんだとなりかねないため、このような条文が存在しています。

 

 

まとめ

複数の債務者がいる場合、債務者同士で行使できる権利が、求償権でした。

特に連帯債務者全員が割合で返す約束をしていたが、特定の1人が全額弁済した場合、他の債務者に本来弁済するはずだった額を求償することができました。

しかし、求償にたいして償還する資力がない連帯債務者が出てしまった場合、求償は当然できません。本来その債務者が弁済する割合を残りの債務者(求償者も含めて)で均等に割るというのが444条でした。

ただし、求償者が本来求償できたはずなのに過失がある場合は、均等に割ることはできません。

 





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