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コロナは就職氷河期を引き起こす?コロナ禍と就職の関係をリーマンショックとバブル崩壊との比較から解説

2020年から猛威を振るっている新型コロナウイルスですが、その影響で、私たちの生活は大きく様変わりしました。時差出勤、リモート会議、マスク着用etc...。そして、同時に心配されているのが不景気です。2020年の経済成長率(GDP)は通年だとマイナス4.8%と、リーマンショックがあった2009年ぶりのマイナス成長です。リーマンショックの時もそうですが、不景気になると企業が採用を絞り、就職難になります。コロナ禍は就職にどのような影響を及ぼすのでしょうか。今回はコロナと就職の関係を解説していきます。

 

思ったよりも採用に影響が出なかったコロナ禍

日本経済新聞社の採用計画調査では、2021年春入社前年度実績比2.6%増、2022年春の大卒採用は前年度実績比で4.4%増となっています。景気が後退し、就職に大きな影響を与えた2010年度のリーマンショック後、大卒採用が19.6%減となったのに比べると決して悪い数値ではありません。

就職氷河期と呼ばれたバブル崩壊後の1993~2004年に起こった就職難の時代では有効求人倍率が1を下回るなど非常に悲惨な状況であったことを比べると、コロナは第二の就職氷河期といえるほどひどくはありません。

コロナは社会に大きな影響を与え、就活のリモート面接のなど就職活動にも大きな影響を与えていますが、景気が後退しているにもかかわらず労働市場としては縮小はしているものの、リーマンやバブル崩壊後ほどというわけではなさそうです。

※有効求人倍率とは、公共職業安定所(ハローワーク)に申し込まれた求人数を求職者で割った値です。例えば企業が50人求めている時に、仕事をしたい人が100人いると50÷100で0.5で働ける人は半分しかいません。なので、有効求人倍率が1を下回るというのは、非常に就職が厳しいということを意味します。

 

引用 厚生労働省HP 一般職業紹介状況 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000192005_00010.html

有効求人倍率でみると、リーマンショック後で有効求人倍率が0.47に、その後、段々回復していましたが、今回のコロナ禍で下落し1.18となりました。

 

 

就職氷河期とコロナ禍の違い

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶと言いますが、コロナ禍の就職を見る上で、非常に悲惨な就職氷河期となったバブル崩壊後との比較から学ぶ必要があります。

バブル崩壊後の就職が非常に困難になった要因として、バブル期に雇用をしすぎたという側面があります。

 

引用 厚生労働省職業安定業務統計

バブル期と呼ばれる時期は1986年から1991年までの好景気のことです。上の図でみてもわかる通り、その時期だけボコっと山が出来ていることがわかります。

バブル(泡)という言葉からしてもわかるように、実際には中身のない仮想の好景気で、実態の経済成長を超えて投機が行われて価値が吊り上がってしまうものです。なので、ある日突然泡がはじけるように崩壊して、それまでの価値がガクッと下がってしまうことになるのです。

今でこそバブルといわれ仮想の好景気であり、その後の不況を引き起こすものだとわかっていますが、当時は好景気だと思われ、企業は人を大量に雇用してしまいました。そしてその結果、就職氷河期が生まれることになります。1993年から2004年をみると、少し回復を見せる年もありますが、基本的に1.0を下回る低い倍率で推移しています。

さらにもう一つ原因があります。現代では崩壊しつつありますが、戦後から日本は日本型雇用慣行と呼ばれる終身雇用制を導入しており、企業が大卒・高卒を新卒で大量採用して、退職まで雇用し続けるという形態を今よりも強固にとっていました。

この終身雇用制というのが不況時には非常に厄介で、正社員として雇用すると企業の都合で解雇することが非常に難しく、ある意味で社員を守るという制度でもありましたが、バブル期にはそれが悪い方向に出てしまいました。つまり、バブル崩壊後には、不況下であっても既存の社員の雇用を守る方向に舵をとらざるを得ず、しかもバブル期に人を多くとってしまったことから、企業は自らを守るためには新卒の採用を大きく絞るという選択肢しか取れませんでした。これが、就職氷河期と呼ばれるほどの就職難へと引き起こすことになります。

2021年5月にパナソニックが、50代のバブル入社組を対象に退職金を割増して4000万円で依願退職を募っていましたが、バブル期入社の人材を今まで大切に雇用し続けていたことがわかります。

不景気になると、企業が新たな人材を雇うのを減らすのは通常ですが、正社員を不況を理由に解雇できるような状態(アメリカのような解雇をしやすい社会形態)だと、人を減らして乗り切るということも可能なのです。しかし、日本ではせ正社員の解雇は難しい状況からできない状態であったため就職氷河期が長引いたともいわれています。

この時に、企業側からみて正社員を雇うリスクが言われるようになり始め、派遣社員(派遣法の制定は1986年ですが、業種が拡大されたのは1996年です)や非正規雇用が増加することとなりました。
また、2021年現在35歳から50歳が、就職氷河期を体験した年代としてロストジャネレーション(失われた世代)などと呼ばれています。長引く不況を引き起こし、雇用の市場が縮小したことから、違法なブラック企業が増加したのも、このバブル崩壊後からになります。

しかし、今回のコロナ禍では、そもそも終身雇用制がかなり弱まってきており、転職も従来に比べると活発で、雇用の弾力性が高くなってきているといえます。もっとも非正規雇用が増えたからという側面も大いにあります。今回のコロナで被害を受けた業種は、鉄道や航空、観光業、飲食店などの特定の産業で、それらの業種では採用を絞っていますが、依然として人手不足の業種も多く全体として見れば就職難というほどではありません。

また、業績が悪化した航空や観光業、飲食なども、非正規雇用者を解雇することで、バブル崩壊後よりは人員を調整しやすい状況にあり、非正規雇用の雇い止めは行われていますが、コロナでダメージをうけた業種もバブル崩壊後よりは耐えているといえるかもしれません。いわゆる派遣切りと呼ばれる非正規雇用の雇い止めは行われつつあるので、派遣業の人は人手不足の業種に移動しないと厳しい状況が続くかもしれません。

 

バブル期とコロナ禍の違い

  • 全業種でなく特定業種だけダメージを受けている
  • 非正規雇用が増えた
  • 終身雇用制が弱まってきている

 

好景気と不景気の違い

リーマンショック時には、世界恐慌とも呼べる状況で、全業種が全体的に不況といえました。バブル崩壊後も日本社会に不景気が広がりました。ここで不景気と好景気はなぜ起こるのかを説明する必要があります。

好景気というのは、まず【物】が売れることです。【物】が売れると企業が儲かります。企業は儲かると新たな事業を始めて雇用を拡大させたり、給料をあげたりします。給料や雇用を拡大すると、お金を得た人々がまた【物】を買い好景気は循環します。

一方で不景気というのは、この逆の状況が起こることです。まず【物】が売れません。【物】が売れないため、企業はもうからず、企業は新しく事業を始めませんし、給料もあげません。なので誰も【物】を買いません。不景気はより不景気を生み出していきます。

 

リーマンショックとコロナ禍の違い

バブル崩壊後の就職氷河期は有名ですが、リーマンショック後にも就職難と呼ばれる現象が起こり、第二の就職氷河期などと呼ばれることもあります。実際に、経済成長はマイナスとなり、大卒採用が前年度比19.6%減となっていることを見ると、就職は非常に厳しい状況であったことが見て取れます。

今回のコロナ禍でも経済成長はマイナスとなっていますが、リモート面接などを行い採用は手堅く行っています。この違いはなんでしょうか。

1つに、リーマンショック時の採用絞りに対する企業の反省があります。リーマンショック時に採用を絞ったことにより、企業内で年代のバラツキがでてしまい、次世代への継承がうまくいかなくなったり、団塊の世代が一斉に退職した際に若手の社員がいなかったりと大きな問題が起こってしまいました。

企業にとって、年代のバラツキが大きいと、定年に伴って技術をもつ世代が一斉に退職し、もっていた技術がうまく継承されず、社内が混乱することがしばしばあります。こうしたリスクを避けるために、年代のバラツキを抑えようと大企業を中心に考えるようになったようです。

リーマンショックは、アメリカのリーマンブラザーズが経営破綻したことをきっかけに、世界的に金融危機がおこり、不景気となりました。不景気というのは物が買われない。つまり、お金が動かない状態なのでマズイのです。

一方で今回のコロナは、新しい生活様式と称して家の中に籠る、いわゆる巣ごもり需要が増加しています。今まで外で食べていたお金が家で食べることに使われるようになったのです。当然、外食はしなくなりますが、家で食べるから少し贅沢してみるかと今までにない需要も生まれており、スーパーなどの食品の小売り業はむしろ需要が増加しています。
そのため、リーマンショックと異なり、ダメージを受けている業種(需要が低下した業種)と、追い風を受けている業種(需要が増加している業種)で分かれていることがリーマンとの大きな違いとなっています。

さらに、企業の体質変換も大きな要因となっています。デジタルトランスフォーメーション(DX)や脱炭素などが世界的な課題となっており、大企業を中心に分野開拓が進んでいます。新たな開拓の需要があるため、そこに適した人材、特に理系学生の需要は高く新卒絞りが、リーマン時に比べると起こっていないと考えられます。

※団塊の世代とは第二次世界大戦直後の1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)に生まれた第一ベビーブームの世代のことで、年間出生数が260万という驚異の年代となります。(2020年の出生数は87万)他の年代に比べて数も多いことから、様々な話題となりました。2012年に団塊の世代が65歳を迎えて定年することから2012年問題とも呼ばれていました。

※デジタルトランスフォーメーションとは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること(デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン 経済産業省)

 

リーマンショック時とコロナ禍の違いまとめ

  • 単に需要が減ったのではなく、需要が増えた業種と需要が減った業種がある
  • 世代がばらつくことを企業が恐れている
  • DXや脱炭素など世界的な課題があり、分野開拓が必要

 

 

コロナ禍と就職のまとめ

新型コロナウイルスの登場からわずか1年ちょっとでワクチンを開発した人類の対応力は非常に高いですが、同時にコロナ禍に対応するために新たな生活様式に移行しつつあります。海外旅行はほとんどなくなり、代わりにYouTubeや漫画、読書などの1人で遊べるものや、通話アプリなどの遠隔で通話して何かをすることが広がってきています。

そして、ワクチンが普及したとしても、数年間は元の状態になるとは考えにくいので、新たな生活様式はしばらく続くものと思われます。そのため、原状のコロナ禍でダメージを受けている業種、鉄道・航空、観光業、アパレル、食品卸、飲食店、派遣、医療、介護などは今後も厳しい状況が続くのではないでしょうか。

外国人観光客で保っていた観光業などは非常に厳しい状況が続きそうです。

一方で家に籠ることが増え、企業もリモートワークを導入したことで、スーパーや運送業などは今後も需要が高くなることでしょう。需要のある業種が変化しつつあるのが、今回のコロナ禍の特徴です。

 

(株)帝国データバンク「新型コロナウイルス感染症に関する企業調査」

逆に外に出なくなったため、服を買わなかったり、外国人観光客で保っていた観光客や、家で食べることで需要が減っている飲食店、そして飲食店に食材を卸している卸売業なども厳しい状況が続くでしょう。
また、高齢者が病院に気軽にいかなくなったことにより、病院も厳しい状況となっています。さらにコロナ対策で予防のための費用が増大しているのも病院の経営を悪化させています。また、高齢者の介護も介護施設での感染を恐れて減少しているためしばらくは厳しい状況となりそうです。

人員調整として使われる派遣業は、不況の際に真っ先に切られるという弱い立場になりますが、現在人が必要でない業種から、人手が必要な別業種にうまく転換することを求められています。派遣業は流動性の高い業種であり、不景気時の潤滑油として考えられていることを抑えておかなといけません。

バブル崩壊後に比べると社会は大きな変化を遂げてきました。バブル崩壊から30年弱、常に低成長な日本社会であり、非正規労働者は大きく増えました。また、転職なども以前に比べると活発になり、大学への進学率も大きく上昇し、インターネットの普及など社会はさらに高度化しました。

そんな変化した社会の中で、新しい生活様式やリモートワークなどの新しい働き方が求められているのかもしれません。
今回のコロナ禍で社会は大きく変化していくのではないでしょうか。バブル崩壊後もリーマンショック後も、社会はなんとか変化を重ねてここまできました。そして、コロナ禍では新たな生活様式をターゲットに、新たな需要を生み出そうとしています。

これから就職する人はこうした変化をみながら、就職活動をしなければならないのは非常に大変なことでありますが、変化をみながら自分のやりたいこと、自分が幸福だと思う生き方を選択していく必要があるのではないでしょうか。





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