法改正

【主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務】民法改正2020年4月1日施行の基本と要所の解説(第458条の2)

保証人という言葉はドラマなどで一度は聞いたことがあると思います。お金を借りた本人でもないのに、保証人というだけで莫大な借金を負ってしまうというのは、テンプレートの物語です。

今回は、保証人の保護に関するルールが民法改正により明文化されたため、解説していきたいと思います。

 

 

458条の2の条文

【改正後民法】

(主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務)

第458条の2

 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。

 

458条の2は新たに新設された条文です。今回の改正の中でも大きな意味を持つ内容の1つが、今回の保証人の保護ルールに関する条文の追加です。

 

実は保証人制度はあまりにも責任が重すぎるという批判がかねてよりありました。そのため、今回の改正では保証人の保護に関する条文が追加されたわけです。

それでは、何が保護されるようになったのでしょうか。解説していきたいと思います。

 

 

保証人とは

債務者が破産などをして支払うことができなくなった場合に、債権者は負債を抱えてしまうことになります。貸したのに返ってこない、これは債権者にとって非常に大きな問題です。そのため、債権者がお金を貸すときに債務者1人では心配でも、債務者が破産したら別の人が返してくれれば安心です。

この債務者に何かあって支払えなくなってしまったときに、代わりに返済すると約束した人が「保証人」です。

 

保証人には元々どんな権利があるのでしょうか、条文である民法452条と453条を見ていきましょう。

 

(催告の抗弁) 

第452条

 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

(検索の抗弁) 

第453条

 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない

 

この2つ条文では、債権者が保証人に債務の履行を請求できますが、それに対して保証人が「先に債務者からもらってね」ということができるということが書いてあります。

保証人というのは、あくまで債務者が破産手続きをしているだとか、失踪した場合に代わりに払う人であって、債務者がちょっと延滞をしたら代わりに払う人ではないのです。

 

例えば、借金があったとしても債務者に資産価値のある不動産が残っている場合は保証人に請求できません。

 

まずは、債務者に対する強制執行などがあり、それでも資力が足りていない時に保証人の出番があるということです。

 

また、ドラマでよく出てくる連帯保証人の場合は、「先に債務者からもらってね」という権利がなくなってしまうため、連帯保証人の方が返してくれそうだと思ったら、いきなり連帯保証人に請求をすることができてしまいます。

なので、連帯保証人は気軽になってはいけないと物語で繰り返し強調されるわけです。

 

 

保証人の種類

保証人には連帯保証人などがありますが、458条の2では、委託を受けた保証人が対象となっています。

 

委託を受けた保証人とは、債務者から頼まれて保証人となった人です。頼まれず保証人になった人はここでは除きます。

 

 

保証人保護のための新しい権利

保証人(委託を受けた保証人)に新たに認められた権利は、「債権者に情報提供を請求する権利」です。

 

保証人からすると、債務者が利息が滞っているのかであるとか、利息がいくらあるのかということはわかりません。債務者が破産まで行ってしまえばもちろん、嫌でも知ることになりますが、延滞している途中ではわからないのです。

 

延滞をしているなどの情報が早い段階からわかっていれば対策の取りようもあるでしょう。そのために、情報を請求することができるようになりました。

 

請求できる情報の内容は、「主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報」とあります。

 

今すぐに支払わないといけない金額はいくらかであるとか、利息や違約金など必要な情報はほとんど請求することができるようになりました。

 

この請求に対して、債権者はすみやかに開示しなければいけません。もちろん拒絶することはできません。

図に示すと上のようになります。

債務者は保証人にもしもの時に備えて、保証してもらっていますが、債務者が既に返済することができないのに、保証人に黙っている場合もあります。それどころか、雲隠れしてしまったり、破産手続きを開始してしまうこともあるでしょう。

保証人としては、自分が支払わないといけなくなってしまうため、本当に債務者が危険な状態に陥り、延滞などを繰り返す前にいち早く知る必要があります。

 

そのために、必要な情報を債権者に請求することができます。債務者ではなく債権者に請求できるところがポイントです。

債務者はうそをついて隠してしまう可能性がありますが、債権者の視点からすると返してもらえるのであれば誰でも問題ないので、保証人に情報開示するのはそこまで問題ではありません。

 

 

まとめ

保証人とは、債務者が返済できないような状態に陥った時に代わりに返済する人でした。

保証人を立てることで、債権者から見た債権が返ってくるという信頼が上昇します。しかし、残念なことに保証人の責任が大きすぎるため、保証人を保護する目的で、債務者の返済状況などの情報を債権者に請求する権利ができました。

 

今後、このルールがどのように使われていくのか注目が必要です。

 





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