産業廃棄物処理業務の種類には産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄物処分業があります。
産業廃棄物収集運搬業は、その名のとおり産業廃棄物を処理場に運搬する業務のことをいます。産業廃棄物の処分業は、埋め立てや中間処理などを行い廃棄物を処分する業務ことをいます。
ではこの産業廃棄物処理業を行うために必要な許可申請に必要な手続きはどんなものがあるか見ていきましょう
産業廃棄物収集運搬業の許可を受けるために必要なこと
収集運搬業
- 欠格条項に当たらないこと
- 講習会を受講し修了試験に合格していること
- 運搬車両、運搬容器が確保されていること
- 継続的に行える経理的基礎がること
- 業務量に応じた施設や人員といった業務遂行体制を整えるなども適法な事業計画があること
処分業
- 欠格条項に当たらないこと
- 講習会を受講し、修了試験に合格していること
- 産業廃棄物処理施設設置許可を受けていること
- 自治体との事前協議周辺住民の同意を求める場合あり、申請手続きを経た後、知事の許可を受けていること
収集運搬業、処分業のいずれも欠格条項に当たらないこと、日本産業廃棄物処理振興センターが開催している産業廃棄物のは講習会を受講し、修了試験に合格していることなどが条件になります。許可後においても欠格条項に一つでも該当した場合は、許可の取り消し処分を受ける場合があります。
産業廃棄物収集運搬業の許可に際しては、運搬車両、運搬用機が確保されているが、継続的に行える経理的基礎があるか、などについて審査されます。また、産業廃棄物の積替保管する場合は、積替保管の施設において、生活環境の保全上支障を生ずる恐れがあるないような措置を講ずることが求められます。
産業廃棄物の処理施設には産業廃棄物処理施設設置許可を受ける必要があります。
さらに産業廃棄物処分業を行う場合は、地方自治体との事前協議を行い、所定の手続きが終了した後に、申請を行い、都道府県知事の許可を受けなければなりません。また、自治体によっては行政指導により周辺住民の同意を求める場合があります。
講習会を受講している事
産業廃棄物収集運搬業を申請するためには日本産業廃棄物処理振興センターが実施する講習会を受講し修了証を取得しなければなりません。
受講対象者は、個人で申請する場合は、本人または事業所の代表者です。また法人で申請する場合は、法人の代表者、役員、事業所の代表者が対象者です。
ココに注意
終了証の有効期限にご注意!
新規の講習会終了証は5年間有効で、更新の場合は2年間有効となります。
経理的基礎を有している
経理的基礎を有しているとは産業廃棄物処理場を的確に、かつ継続して行うに足りる財務基盤があることをいます。
この判断基準やそれを証する提出書類は、各自治体で異なりますが、大まかに言って利益が計上できていること、債務超過の状態でないことなどが基準となっています。
提出書類
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本変動計算書
- 個別注記表
- 直近3年の決算書
- 直近3年の納税証明書
適法かつ適切な事業計画を整えている事
許可を申請する前に、事業計画を整えておかなければなりません。適合かつ適切な事業計画の要件は、その内容が計画的に実施され、業務量に応じた施設や人員などの業務遂行体制を整えていることが必要なります。
具体的には以下の通りです。
- 排出事業者から廃棄物の運搬を委託を受けることが確実で、産業廃棄物の種類や性情を把握できること
- 取り扱う産業廃棄物の性情に応じて、収集運搬基準を順守するために必要な施設があること
- 搬入先が産業廃棄物を適正に処理できること
- 業務量に応じた収集運搬のための施設があること
- 適切な業務遂行体制が確保されていること
収集運搬に必要な施設がある事
産業廃棄物が飛散、流出したり、悪臭が漏れだしたりしないような運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有している必要があります。
結核条項に該当しないこと
結核条項とは
①破産者でないこと
②禁固以上の刑を受けて5年を経過しない者
③暴力団の構成員でないこと
欠格条項に該当してはいけない者
申請者、政令で定める使用人、取締役、監査役、執行役、顧問、相談所、5%以上の株主
以上のものが、欠格条項に該当しないことが要件になります。
申請に必要な書類一覧
自治体によって求められる提出書類は異なりますが、概ね以下の書類が必要となります。詳細は管轄の自治体に問い合わせましょう。
①産業廃棄物収集運搬業許可申請書
②変更事項確認書
③結核事項に該当していない者である旨の誓約書
④経理的基礎に関する事項
その他、経理的基礎を表す書類
・貸借対照表
・損益計算書
・株主資本変動計算書
・個別注記表
・直近3年の決算書
・直近3年の納税証明書
⑤事業計画及び取り扱う産業廃棄物の種類
⑥登録車両一覧表
⑦登録車両の写真(斜め前と斜め後ろの対角線方向の写真)
⑧運搬容器の写真(ドラム缶、ポリタンク、コンテナ、トレーラー等)
主な添付書類
株式会社等の場合
①定款のコピー
②法人登記事項証明書
③役員等又は申請者の住民票抄本・被後見人等が記載されていない事の証明書
④株主又は出資者の登記事項証明
⑤貸借対照表
⑥損益計算書
⑦株主資本変動計算書
⑧個別注記表
⑨法人税の納税証明書直近3年分
⑩講習会の受講終了証のコピー
⑪自動車の車検証のコピー
⑫粒子状物質現象装置装着照明証(ディーゼル車両の場合)
⑬船舶の使用権原を証明する書類
個人の場合
①申請者の住民票抄本・登記されていない事の証明書
②所得税の納税証明書直近3年分
③講習会終了証のコピー
④自動車の車検証のコピー
⑤粒子状物質現象装置装着照明証(ディーゼル車両の場合)
⑥船舶の使用権原を証明する書類
申請手続きに掛かる費用
産業廃棄物収集運搬業許可を受ける為の受講料
¥30,400-
産業廃棄物収集運搬業許可申請・新規
¥81,000-
産業廃棄物収集運搬業許可申請・更新
¥73,000-
(積替保管を含まない場合は¥42,000-)
行政書士に依頼する費用
¥108,000-
産業廃棄物収集運搬業許可申請の流れ
step
1講習会受講
終了証発行まで3週間
step
2許可を受ける品目決定
step
3申請書の作成
正本・副本の準備
step
4申請書提出
予約が必要
step
5自治体の審査
欠格条項や経理的基礎等の審査
step
6許可
申請から許可まで約2か月。 トータル3カ月はかかります。
申請時における4つの注意点
注意点①
自治体ごとに申請手続きに差異があります。
東京都ではこのように行ったが、千葉県ではプラスこのような手続きが必要だとかその自治体によって若干違います。
注意点②
複数の許可が必要な場合があります
千葉県で産業廃棄物を積み込みして、東京都の処理場に持っていく場合は、東京都、千葉県の両方で許可を受ける必要がある場合があります。
注意点③
扱う産業廃棄物の種類を確認する事が必要です。
運搬先の処理場で取り扱う品目の産業廃棄物を取り扱っていない場合もあるので予め持ち込む処理場の取り扱う産業廃棄物を確認する必要があります。
注意点④
許可の期限と更新に注意してください。
車の免許のように2年ごとの更新があります。更新の際に提出書類の中に講習会の修了証書が含まれます。更新ごとの受講が必要でかつ更新の申請を怠ると、産業廃棄物収集運搬の許可が失効してしまいます。
当事務所でも「産業廃棄物処理処理業務」を行うための許可申請を何件も依頼を受け作成を行っております。ご不明点やご相談などがございましたら、下記フリーダイヤルよりお気軽にご連絡下さいませ。