どれくらいの財産があると相続税がかかるのか気になるところですよね。
相続税というのは基礎控除額を超える分に対して相続税がかかってきます。また相続財産の評価は相続開始の日の時価によって決まります。今回は相続税が掛かる(必要な)財産と掛からない財産がどういったものなのかを説明していきます。
相続税の基礎控除額
遺産財産に相続税がかかるか否かは、相続財産の額と『基礎控除額』の額によって決まります。
2019年現在基礎控除額は『3,000万+(600万×法定相続人の人数)』で決まります。
例えば、法定相続人が”妻と子2人の3人”であれば
『3,000万+(600万×3)=4,800万』
の基礎控除額になります。
相続財産が4,800万いかであれば相続税は掛かりません。4,800万を超える相続財産がある場合、『超える部分に対して』相続税が掛かります。
サラリーマンの一般的家庭では財産額の多くを占めるのが住宅不動産であり、この住宅がいくらの価値があるのかが相続税がかかるかどうかの重要なポイントになります。
小規模住宅地等の特例
自宅を相続す場合、誰が相続するかによって不動産価値の評価額の減額特例を適用できるか否かが決まります。
小規模住宅地の特例とは
居住用などの宅地の評価額が一定面積まで80%または50%に減額されるという特例です。
例えば
配偶者、長男、次男の3人の誰かが1億円の住宅を相続する場合
基礎控除額は3,000万+600×3=4,800万
となり1億円の住宅を相続すると4,800万を超える部分の5,200万に対して相続税がかかります。
しかし、この住宅を『同居していた配偶者』のみが相続した場合には、特例の適用があり評価額1億の80%を減額した額が評価額となります。
(※敷地面積330㎡までの宅地という制限があります)
よって評価額は1憶の80%を減額した2,000万が評価額となり、基礎控除額4,800万を下回り、相続税は掛からなくなります。
一方、『別居していた長男』が相続する場合は評価額は1憶で特例が適用されず、大きな額の相続税がかかってしまいます。
ですから相続する際、『誰が何を相続するか?』が重要なポイントになってきます。
財産は相続開始日の時価で評価される
相続が起こった場合、安易に財産の分配を考えず、相続税の対策を考慮すべきです。相続するうえで相続税がかかるのかかからないのか、またかかった場合にはいくらの相続税を払うのかを把握することが無駄を出さない相続のポイントになります。
その為には、財産が実際いくらで評価されるのかを知る必要があります。
相続財産の価額は『相続開始日』の時価によって評価されます。相続開始日とは『被相続人の死亡日』です。
財産の評価は
国税庁が通達している、『財産評価基本通達』によって財産を区分し、具体的な評価方法を示しています。原則としてこの通達に則って評価することになります。
相続税のかかる財産とかからない財産
本来相続税は原則として全ての相続財産に対して課税の対象としています。しかし相続される財産には仏壇や墓地など『非課税』とされる財産があります。
また課税される財産には『本来の相続財産』と『みなし相続財産』があります。
非課税財産
非課税の財産には以下のような財産があります。
墓地や仏壇のような祭祀財産
国や地方公共団体に寄付した財産
受取人が相続人である生命保険金の一部(500万×法定相続人の人数までの額)
受取人が相続人である死亡退職金の一部(500万×法定相続人の人数までの額)
心身障がい者共済制度に基づく給付金の受給権
個人で経営している幼稚園の事業で使用されていた財産で一定の要件を満たすもの
本来の相続財産
●本来の財産とは
『被相続人が所有していた金銭で見積もれる経済的価値のあるもの全ての財産』の事を言います。よってこの本来の相続財産は全て課税の対象になります。
【本来の相続財産となるもの】
●土地
宅地、農地、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地 その他
●土地上にある権利
借地権、定期借地権、区分地上権、地上権、賃借権、耕作権、永小作権、温泉権 その他
●預貯金
現金、小切手、定期預金
●有価証券
公社債、投資信託、株式 その他
●無体財産権
特許権、実用新案権、著作権、電話加入権、営業権
●果樹及び立竹木
果樹、立木、立竹
●棚卸資産
商品、原材料、製品、生産品
●動産
自動車、船舶、オートバイ、牛馬、絵画、骨董品、宝石、貴金属
●権利
ゴルフ会員権、受取手形、貸付金、 など
みなし相続財産
●みなし相続財産とは
本来は相続財産ではないのに、相続財産とみなして課税される財産の事を言います。
例えば
『生命保険金』などです。
生命保険金は死亡によって手に入り、生命保険金は保険会社から支払われるものであって相続するものではありません。しかし相続税法ではこれらの生命保険金を相続や遺贈によって取得したものとみなし課税の対象にしているのです。
【みなし相続財産とされるもの】
●生命保険金
●死亡退職金
●生命保険契約に関する権利
●定期金に関する権利
●保証期間付定期金に関する権利
●遺言により受けた経済的利益
●低額譲渡により受けた利益
●相続開始前3年前以内の贈与財産
※2000万の配偶者控除、直系尊属からの住宅取得等資金・教育資金・結婚子育て資金の非課税の適用を受けたものは課税対象外になります。