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【債権者代位権の直接支払い】民法改正2020年4月1日施行の基本と要所の解説(第423条の3)

債権者代位権 直接支払い 民法改正 2020

 

423条の債権者代位権とは、債務者の持っている権利(被代位権利)を、債権者が代わりに行使することを認めるものでした。

この時に、債権者は債務者の代わりに債権を回収することができますが、債権者に直接支払ってもらうのか、債務者に支払えといえるだけのものなのかによって大きく変わってきます。今回は債権者代位権についてより詳しく解説していきたいと思います。

 

423条の3の条文

 

第423条の3

 債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができる。この場合において、相手方が債権者に対してその支払又は引渡しをしたときは、被代位権利は、これによって消滅する。

 

423条の3は、債権者代位権として権利を行使する時は、下の図のように、BからCへの債権をAが直接受け取ることができます。ただし、金銭の支払いや動産の引渡しの場合です。

 

 

423条の3のポイント

新設された423条の3では、金銭の支払いや動産の引渡しの場合はAがCに対して、直接求めることができると明記されました。

 

 

上の図のように、債権者Aさんの権利を守るために、Bさんの債権を代わりに回収します。その際に、Cさんにこちらに支払うように伝え、CさんもAさんに支払いを終えれば、本来はBさんとCさんの関係ですが、CさんはAさんに支払うことで支払いの義務(被代位権利)が消滅します。

 

この考え方は、民法改正前でも、債権者は物や金銭をAに直接支払い・引渡しをするよう求めることができるというのが判例でした。そもそも、Aさんの権利を守るためのものですので、例えば、CさんにBさんに対して、支払うように伝えたところでBさんが受け取りを拒否するということもできてしまいます。

 

このようなことを防ぐためには、AさんとCさんで直接やり取りをする必要があります。そして、支払いが終われば通常の債権と同様にCさんの支払い義務は消滅します。

 

 

 

それでは、金銭や動産の場合は直接できますが、他の場合はどうなるのでしょうか。

 

金銭と動産以外の場合は?

動産と金銭以外の場合として、「不動産」があります。不動産は、「土地およびその定着物」(民法86条)でした。

なので、不動産とは土地や建物のことを表します。他にも「登記」登録をした動産、例えば、自動車や大型船舶や航空機なども不動産として扱われます。

 

423条の3では、「金銭の支払又は動産の引渡し」とあるので、不動産の場合は、入らないように思われます。

しかし、423条の7という新設された条文にて「登記又は登録の請求権を保全するための債権者代位権」が明記されるようになりました。

「登記」を使用した不動産については、423条の7で達成することができます。

 

債権者代位権は、債務者の無資力が要件になっていました(民法423条)

 

しかし、一定の場合には、責任財産の保全ではなく、被保全債権の直接の実現のために、債権者代位権を「転用」することが行われていました。債権者代位権は債務者の財産権の侵害になるということが、1つ問題点としてありました。ですが、例えば、不当に土地を占拠している第三者(Cさん)に対して、賃貸人(Bさん)に代わって債権者のAさんが土地の明け渡しを求めるということが判例としてあります。

 

同様の判例でAさんに直接明け渡した土地を受け取ることができるという判例もあり、今回の改正民法がどのように扱われるのかは、今後の判例を待たなければなりません。

 

まとめ

債権者代位権において、被代位権利を債権者は金銭や動産の場合は直接受け取ることができます。そして、支払いが終われば通常の債権と同様に被代位権利も消滅します。

 

しかし、今まで実際に行なわれていた転用において不動産がどのように扱われるかは今後の判例を待つ必要がありそうです。

 





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