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【譲渡制限の意思表示がされた債権の差押え】民法改正2020年4月1日施行の基本と要所の解説(第466条の4)

債権者は別の人に債権の譲渡をすることができ、債務者はそれを制限することができないというのが基本原則でした。しかし、債務者が反対した場合、債権をもらった人(譲受人)に債務の履行をしなくてもいいというルールがありました。ではもし、譲受人が強制執行をされ債権の差押えをされた場合はどうなるのでしょうか。今回は債権を差押えられた時を解説します。

 

 

466条の4の条文

(譲渡制限の意思表示がされた債権の差押え)

第466条の4

1 第466条第3項の規定は、譲渡制限の意思表示がされた債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、適用しない

2 前項の規定にかかわらず、譲受人その他の第三者が譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった場合において、その債権者が同項の債権に対する強制執行をしたときは、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって差押債権者に対抗することができる。

 

債権者の保護に関するルールが466条でしたが、強制執行された債権に関する例外ルールを定めたのが、466条の4です。

 

 

債権者が別の債権者に強制執行される場合

 466条の4では、非常にわかりにくいですが、債権者の債権者が出てくる場合の債権譲渡という場合になります。

上の図のように、AさんがBさんに100万円を貸しているとします。また、CさんはAさんに200万円貸していました。そして、Bさんは債権譲渡をしないようにしてほしいと意思表示していました。この意思表示はCさんも知るところでした。しかし、AさんはCさんに債権を譲渡しました。この時、通常ならば、BさんはCさんに対して、債務の履行を拒否し、Aさんに対して、履行することができます(466条)

 

ですが、今回はAさんが、貸してもらった200万円を返すことができず、Cさんに裁判を起こされ、判決が確定してたとします。その後、Aさんがお金を支払ってくれなかったり,建物等の明渡しをしてくれなかったりする場合に,債権者Cさんが、Aさんに対する請求権を,裁判所が強制的に実現することができます。これを強制執行と言います。強制執行が行われると、前段階として差押えがあるのですが、そこまで来ていると、Bさんがいくら譲渡は嫌であるといっても、そしてそれをCさんが言ったとしても、既に債権者としてのAさんは差押えされてしまっているので、Cさんに払うしかないという場合は466条の4の1項です。

 

そもそも、債権を譲渡しなかったとしても、差押えで抑えられてしまうので、譲渡に反対していてもあまり関係ありません。そのため、例外として認められています。

 

 

 

強制執行でも債務の履行をしなくてもいい場合

 466条の4の2項では、4人の人物が出てきます。債権者A(譲渡人)が、譲受人に100万円の債権を譲渡したとします。債権の譲渡に関しては、制限することができません。しかし、それでは債務者Bが不利益を受ける可能性があります。そのため、債務者が反対した時は、譲受人に対して、債務の履行をしなくても良いというルールがありました。(466条の第3項)

 

それに対して、譲受人が別の人(債権者D)にお金を借りていて、全く返さないとします。このような場合に債権者Dが、裁判を起こすことができます。その後、強制執行をすることができます。

 

譲受人Cが強制執行をされた場合、Cが債務者Bの譲渡への反対を知っていた場合、466条の4の1項の場合、強制執行ならば、債務の履行をしないといけませんが、これの例外として債務者Bは、譲受人Cに債務の履行をしなくても良いのです。(466条の4の第2項)

 

つまり、債務者Bを保護するために、譲受人が強制執行される場合で、債務者Bが譲渡に反対していることを、譲受人が知っている場合は、債務者は債務の履行をする必要がありません。非常に読みにくい書き方をしていますが、簡単に言うと、強制執行がされる債権であれば、基本的に債務の履行をしないといけませんが、譲受人が強制執行される場合で、譲受人に悪意がある場合は、債務の履行をしなくても良いということになります。

 

そもそも強制執行されるような譲受人なので債務者が債権の譲渡を嫌がっていたのかもしれません。こうした債務者の心情を考えると、悪意のある譲受人の強制執行には、債務者を保護する必要があると判断されたのだと考えられます。

 

 

まとめ

この記事では債権の譲渡という債権が移動してしまう場合に強制執行が絡んできたらどうなるのかという場合を想定しています。債権の譲渡は基本的に制限できませんが、債務者が反対の意思表示をすると、譲渡された先の譲受人が譲渡に反対していることを知っていれば、債務の履行をしなくてもよいというルールがありました。

 

ここに、強制執行が絡むと基本的に債務の履行をしないといけなくなります。しかし、譲受人が強制執行されていて、譲受人が反対の意思を知っていれば、債務の履行をしなくても問題ありません。

 

 





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