遺産分割協議書を作成するのには理由があります。例えば被相続人(死亡した人)の銀行口座が死亡によって凍結した場合、遺産分割協議書に基づいて凍結解除の手続きを進めていくことになります。
また、不動産の名義変更にかかる税金も遺産分割協議書に基づく名義変更と、通常行われる名義変更とではかかる税金が相続による名義変更の方が安くなったりします。
遺産分割協議書を作成する目的とはどのようなものがあるでしょう?
- 相続人が複数名いる場合、遺産の分割を明確にし、各相続人が合意のサインをすることによってその遺産分割の内容が明確かつ正式なものとなります。
- 遺産分割協議書は相続人各々が保管することになります。従って、後の無用なトラブルを避ける事が出来ます。
- 不動産の名義変更の手続きに使用します。
- 凍結口座の解約手続きに使用します。
- 自動車の名義変更に使用します。
- 株式の名義変更に使用します。
- 相続税の申告書に添付する資料になります。
遺産分割をどのようにするか話し合いがまとまったら必ず遺産分割協議書を作成しましょう。
遺産分割協議書サンプル
こちらが「遺産分割協議書」のサンプルになります。
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遺産分割協議書
本 籍 ○○県○○市○○丁目 〇番〇号
最後の住所 ○○県○○市〇〇丁目 〇番〇号
被相続人 行 政 太 郎
(令和〇年〇月〇日死亡)
上記の者の相続人全員は、被相続人の遺産について協議を行った結果、次の通り遺産を分割する事に同意した。
1. 相続人行政一郎は次の通り遺産を取得する
【土地】
所在 ○○県○○市〇丁目
地番 〇番地〇
地目 宅地
地積 180.50㎡
【建物】
所在 ○○県○○市〇丁目
家屋番号 〇番〇
種類 木造
構造 2階建
床面積 1階 50㎡
2階 45㎡
2. 相続人行政花子は次の遺産を取得する
【現金】
3,000,000円
【預貯金】
○○銀行○○支店 普通口座 (口座番号)
【自動車】
車体番号 ○○○○
(車検証の内容等)
3. 相続人行政次郎は次の遺産を取得する
【株式】
○○株式会社 普通株式 200株
4. 相続人行政一郎は、第1項記載の遺産を取得するにあたり、その代償として、行政三郎に金6,000,000円を支払う。
5. 本協議書に記載のない遺産が後日判明した場合、相続人行政一郎が取得する。
以上の通り遺産分割協議が成立し、本協議書を〇通作成し署名押印したのち、相続人各々が1通づつ所持する。
令和〇年〇月〇日
【相続人行政一郎の署名押印】
住所
氏名 印
【相続人行政花子の署名押印】
住所
氏名 印
【相続人行政次郎の署名押印】
住所
氏名 印
【相続人行政三郎の署名押印】
住所
氏名 印
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遺産分割協議書作成のポイント
遺産分割協議書を作成するにあたり、注意点やポイントが下記になります。
①遺産分割協議書の決まった様式や書式はありません。
- 縦書き横書きの指定もありません。
- 自筆、パソコンでの作成何で作成しても構いません。
②間違いがあってはなりません。
・例えば氏名の漢字の変換間違い
渡辺・渡邊・渡邉
ナベという字は色々あります。戸籍謄本や住民票を確認して漢字を記載してください。
③不動産情報は登記謄本通りに記載してください。
〇番〇号のあとに○○方が付いたりと、謄本の確認を行いましょう。
④相続人全ての署名と押印が必要となります。また押印には実印を使用し、印鑑証明が必要となります。
⑤相続人が複数いる場合、遺産分割協議書は相続人の人数分作成し、各々が保管することによって、後のトラブルを避ける事が出来ます。