法改正

【受益者の債権の回復】民法改正2020年4月1日施行の基本と要所の解説(第425条の3)

 詐害行為は債務を抱える債務者が、債権者に返すことができないのに、資産を隠したり減らしたりするために、他人(受益者)に贈与したり、不当に安く売ったりすることでした。これらを取消すことで、債務者の財産を回復させ、債権者が取り立てることができるようにするものでしたが、受益者が債務者に対して債権を持っていた場合はどうでしょうか。

 

今回は受益者の債務者に対する債権について解説します。

 

 

425条の3の条文

(受益者の債権の回復)

第425条の3

 債務者がした債務の消滅に関する行為が取り消された場合(第424条の4の規定により取り消された場合を除く。)において、受益者が債務者から受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、受益者の債務者に対する債権は、これによって原状に復する

425条の3も新設された条文ですが、この条文では、「債務の消滅に関する行為」について、受益者の債務者に対する債権がどのようになるかを明らかにしています。

 

 

債務の消滅に関する行為とは

詐害行為というのは、債権者の不利益になるように、債務者が自分の財産を減らす行為でしたが、いくつか種類がありました。その中で「債務の消滅に関する行為」で代表的なものは、424条の3にありました。

 

(特定の債権者に対する担保の供与等の特則)

第424条の3

1 債務者がした既存の債務についての担保の供与又は債務の消滅に関する行為について、債権者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、詐害行為取消請求をすることができる。

一 その行為が、債務者が支払不能(債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。次項第一号において同じ。)の時に行われたものであること。

二 その行為が、債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたものであること。

2 前項に規定する行為が、債務者の義務に属せず、又はその時期が債務者の義務に属しないものである場合において、次に掲げる要件のいずれにも該当するときは、債権者は、同項の規定にかかわらず、その行為について、詐害行為取消請求をすることができる。

一 その行為が、債務者が支払不能になる前三十日以内に行われたものであること。

二 その行為が、債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたものであること。

424条の3では、複数の債権者がいた場合に、支払い不能状態にも関わらず、特定の債権者(受益者)と共謀して債務を支払い(債務の消滅)、他の債権者には、返済できないような状態を作ることが詐害行為に当たりました。

 

つまり、1人の債権者(受益者)が抜け駆けをしてしまうようなことを防ぐルールになっていました。

このような、「債務の消滅に関する行為」の時に、債務の消滅が取消され、また債務が戻ってくると考えられますが、その場合どのようなやり取りになるのでしょうか。

 

 

425条の3のポイント

「債務の消滅に関する詐害行為」を取消された場合次のようになります。

 

例えば、債務者Bさんは500万円の債務をそれぞれAさんとCさんに抱えていました。CさんはBさんと仲が良く、Aさんは嫌いでした。またBさんも同様で、Bさんは既にお金が返せなくなると、Cさんと共謀しCさんにだけ便宜を図って、Cさんにだけ500万円を返すことにしました。

 

この行為が詐害行為に当たり、Cさんの受け取った500万円は取り消されます。その後、民法424条の6の規定に則り、Aさんは金銭や動産の場合は直接、Cさんから受け取ることができるので、Cさんは500万円をAさんに支払いました。

 

Aさんに支払った場合は、Bさんに500万円を返す必要がなくなります。

 

この時、Cさんの債権はBさんが支払って消滅していましたが、取消されたために、Cさんは500万円の損をしてしまうことになります。

 

425条の3では、「受益者が債務者から受けた給付を返還し、又はその価額を償還したとき」つまり、CさんがAさんに500万円を渡した時には、「受益者の債務者に対する債権は、これによって原状に復する

現状に復するというのは、原状復帰という言葉もあるように元に戻るという意味なので、債権が元に戻ります。

 

Cさんの500万円の債権は元に戻り、またBさんに請求することができるようになります。

Cさんの債権自体は損をしないようになっています。(もちろん、詐害行為と認められたということは、Bさんに支払う能力は既にないので、強制執行などの民事執行をとる必要があるかもしれません)

図のように、抜け駆けはできなかったけど、債権は元に戻り、また支払いを求めることができますよ。という条文になっています。

 

 

債務の消滅だけど、債権が戻らない例外

債務の消滅に関する詐害行為でも、債権が戻らない場合があります。それは、民法424条の4における詐害行為と認定された時です。

 

(過大な代物弁済等の特則)

第424条の4

 債務者がした債務の消滅に関する行為であって、受益者の受けた給付の価額がその行為によって消滅した債務の額より過大であるものについて、第424条に規定する要件に該当するときは、債権者は、前条第一項の規定にかかわらず、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分については、詐害行為取消請求をすることができる。

424条の4では、債権の消滅に関する行為ですが、500万円の債権に対して700万円支払ったといった場合に、差額の200万円分に関しては、詐害行為取消請求ができますよという内容になっています。

 

424条の3の規定に当てはまらない場合でも、元の債務よりも過大な場合は取消すことができるという救済措置的なルールが424条の4にありました。

この場合は図のように、受益者が得をしていたのが、フェアに戻っただけなので、債権が戻る必要がありません。そもそも500万円に関しては、支払われており、多かった分だけが取消されたため、受益者は損をしていません。よって、債権が戻す必要はないのです。

 

 

まとめ

複数の債権者がいた場合における債務の消滅に関する詐害行為の場合は、利益を受けた債権者(受益者)との行為が取消された場合、既に利益を受けた人(受益者)の持つ、債権は消滅していますが、復活させないと、一方的に損をしてしまうことになるため、債権は回復します。





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