法改正

【意思表示②】民法改正2020年4月1日施行の基本と要所の解説

意思表示 民法改正 基本 要所 契約

 

 

民法98条 第2項

私たちは日々、契約行為を交わして生きています。買い物に行くと、「売買契約」、病院で診療を受ければ「診療契約」といった具合に、意識はしませんが全ては契約行為なのです。

それでは、全ての人が契約行為を自由に行えるのでしょうか?

 

今回は第98条第2項の改正ポイントについて解説します。

 

民法98条とは?

民法の98条は第1項が「公示による意思表示」、第2項が「意思表示の受領能力」について示しています。意思表示について示された条文です。

 

意思表示というのは、「買いたい」、「売りたい」といった契約行為につながる一定の法律効果をもった、意思の表明です。

公示というのは、公衆が知ることができる状態にすること、例えば、債権の譲渡登記などがこれにあたります。

 

しかし、第1項は今回の改正では変更されていないため、解説はしません。

 

 

民法98条の新旧比較

 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者又は成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、その法定代理人がその意思表示を知った後は、この限りでない。

 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、次に掲げる者がその意思表示を知った後は、この限りでない。

 

一 相手方の法定代理人

二 意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方

 

民法98条は意思表示を受け取ることが出来る人は、全ての人間ではないことを表しています。

 

 

今回の改正では、従来の意思表示を受けることができない人(未成年者と成年被後見人)に加えて、意思能力を喪失した人が適用され範囲を拡大させています。また、未成年者と成年被後見人、意思能力を喪失人に対して、意思表示をしたとしても例外として、法廷代理人や意思能力を回復した場合は表意者の意思表示を受領できると定められています。

 

 

事例1、成年被後見人に意思表示をした場合

改正民法98条では、意思表示を受領できない人として、未成年者・成年被後見人と、意思能力を喪失した人の2種類をあげています。

 

どちらも、意思表示の内容を十分理解できないと考えられるため、保護が必要と考えられます。

 

法定代理人というのは、判断能力が十分ではない人たち(未成年者や成年被後見人)などに対して、代理で法律行為をする人のことです。例えば、小さな子どもが怪しい訪問販売の電話を受けてしまい、了承をしてしまったとしても、小さな子どもには意思表示を受け取る能力がないと考えられるのです。

 

そのため、法定代理人のというのは、子どもの場合(未成年者)は親権者(親など親権をもつ者)や未成年後見人、成年被後見人の場合は成年後見人が法定代理人になります。

成年被後見人というのは、例えば、認知症の人や重篤な精神疾患があり判断能力が十分でないと考えられる場合、成年後見人をつけることができます。

 

わかりやすく図のようにすると次のようになります。

表意者Bさんと成年被後見人Aさんの間だけでのやり取りでは、契約行為は取り消せることができます。しかし、例外として法定代理人Cさんが意思表示を知れば、意思表示として成り立ちます。その後Cさんの同意を得れば、契約は成り立つことになります。

 

 

事例2、意思能力を喪失した人の場合

意思能力を喪失した状態というのは、精神疾患や幼児、認知症、泥酔者が考えられます。例えば、本人が意識を完全に記憶がない酔った席での契約行為を考えてみましょう

 

お酒にとても弱くすぐに泥酔状態になってしまったAさんがいたとします。意思能力を喪失した状態というのは、その意思表示をした時に意思能力があったかどうかが問題となります。

Aさんは気を付けていたのですが、飲み会で泥酔状態となってしまいました。何人かで飲んでいたためAさんが泥酔状態であったのは明白です。この時に、一緒に飲んでいた1人Bが、呂律も怪しいAさんに車を買う契約を交わしたとします。

 

例えば、このような時においてBの意思表示は効果がありません。ただし、次の日泥酔状態から回復し、改めて契約を結んだのであれば、もちろん効力を発揮します

 

極端なれ事例として泥酔状態の場合をあげましたが、泥酔状態であることを証明できるかどうかが難しいので、お酒の席でのトラブルでお困りの時は弁護士に相談するのをお勧めします。

 

 

まとめ

意思表示を受け取る能力は、未成年者と成年被後見人、意思能力喪失者の三種類の場合を除いて、誰でも受領することができます。未成年者と成年被後見人が契約のどの部分を制限されているのかは民法の別の条文で示されています。また、今回の改正で意思能力喪失者という文言が追加されました。

 

これにおいて、泥酔状態などの不利な取引にも対応しやすくなりましたが、難しい問題に発展する場合もありますので、お酒の席で正常な判断ができない状態を作るのは避けた方がいいでしょう。

 

 

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