法改正

【相対的効力の原則】民法改正2020年4月1日施行の基本と要所の解説(第441条)

連帯債務者というのは、一つの債権に対して複数の債務者がいる状態でした。債務者を複数人にすることで、債権者から見て返済の信頼度をあげる効果がありました。それでは、特定の債務者1人にだけ債権者が債務の免除をした場合、他の債務者はどうなるのでしょうか。

今回は、改正後の441条について解説していきます。

 

条文の変化

【改正前民法】

(相対的効力の原則)

第440条

 第434条から前条までに規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない

【改正後民法】

(相対的効力の原則)

第441条

 第438条、第439条第1項及び前条に規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。ただし、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。

 

 

441条は改正前の440条をベースにしています。変更ポイントとしては、「ただし書き」が追加された点です。

 

441条のポイント(相対的効力の原則とは)

相対的効力の原則について、441条は明記しています。

相対的効力の原則とは、連帯債務者1人に生じた出来事は、ほかの債務者に影響を及ぼさないという原則のことです。

 

例えば、債権者が、連帯債務者1人にだけ、債務の免除をした場合、全ての連帯債務が債務の免除となるのではなく、免除を受けたその1人だけが免除となります。

連帯債務者Aの債務だけを免除をした場合、Aの債務だけが免除され、B、Cは影響を受けません。

 

相対的効力の例外、絶対的効力

相対的効力の原則ということは、例外があるということです。

例外として絶対的効力があります。

 

絶対的効力というのは、1人の債務者が行った行為が、ほかの債務者にも影響を及ぼす場合です。

絶対的効力に当たるのが、第438条(更改)、第439条第1項(相殺)、第440条(混同)です。

 

第438条

 連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。

第439条

1 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。

第440条 

 連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなす。

 

438条の「更改」とは、債務の要素を変更することによって従来の債務を消滅させる契約のことです。債務の要素が変わったのにも関わらず、ほかの債務者に影響を及ぼさなければ問題がありますので、絶対的効力になります。

 

439条の「相殺」は、債務者が債権者に対して債権を持っている場合、債務を打ち消すことです。こちらも1人の債務だけ減額されるわけではなく、連帯債務者全員に影響を及ぼす、絶対的効力になります。

 

440条の「混同」は債権者と債務者が同一人物になった時に、債権が消滅するという仕組みです。債権者の相続人が債務者で、債権者が死亡した場合などが当てはまります。この場合もほかの債務者の債務にも影響を及ぼす絶対的効力になります。

 

 

相対的効力の例外、ただし書き

441条には、改正前と異なりただし書きが追加されています。

 

ただし、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。

 

債権者と連帯債務者の合意があれば、ほかの債務者に効力を及ぼしても良いという内容が追加されました。「更改」「相殺」「混同」以外にも合意があれば、絶対的効力として扱うことができます。

 

 

改正前との変更ポイント

改正前には、絶対的効力を持つ場合として、他にも「請求」「免除」「時効の完成」がありました。しかし、これらは削除されたため、改正後は1人の債務者に「請求」(債権を返すように催促)した場合、時効の完成が猶予されますが、1人の債務者に対してのみ、時効の完成が猶予されます。

 

他にも免除を1人の債務者に対して行った場合、他の債務者には影響を及ぼさないため、免除された1人を除いて、債務を返済する必要があります。また、1人だけ時効の完成が成立しても、他の債務者が時効の完成をしていなければ、「請求」などの手続きを取ることも可能になりました。

 

絶対的効力の対応範囲が狭まったことに注意が必要です。

 

まとめ

連帯債務者がいる時、基本的に債務者1人に起こった出来事は、ほかの債務者に影響を及ぼさないという原則が「相対的効力の原則」でした。しかし、例外として絶対的効力が及ぶ場合が4パターンあります。

 

絶対的効力が及ぶ場合

内容

更改(438条)

債務の要素が変更になった

相殺(439条1項)

債権者に対して持っていた債務で打ち消した

混同(440条)

債権者と債務者が同一人物になった

合意(441条ただし書き)

債権者と債務者がほかの債務者に影響を及ぼすと合意した

 

 





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