法改正

【詐害行為取消の範囲】民法改正2020年4月1日施行の基本と要所の解説(第424条の8)

424条は詐害行為取消について記述されていました。この条文では詐害行為であれば取消の請求ができるというものです。では、詐害行為と認められれば無制限に取消が可能なのでしょうか。限界はあるのでしょうか。解説していきたいと思います。

 

 

424条の8の条文

(詐害行為の取消しの範囲)

第424条の8

1 債権者は、詐害行為取消請求をする場合において、債務者がした行為の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ、その行為の取消しを請求することができる。

2 債権者が第424条の6第1項後段又は第2項後段の規定により価額の償還を請求する場合についても、前項と同様とする。

424条の8では、詐害行為を取消ができる限界が明文化されています。この条文も、新設されたものですが、従来の判例法理をそのまま、条文化したものになっています。

 

 

条文のポイント(取消ができる限界は?)

詐害行為の取消は、債務者が支払い能力がないにも関わらず、自らの財産を減らしたり、隠したりする目的で、他人に財産を渡してしまうことでした。

こうした債務者の行為を取消ができることが詐害行為取消請求権でした(民法424条)さらに、取消をした場合、受益者(債務者から利益を受けた人)から返還又は償還の請求をすることができます。

 

では、次のような場合、全部取り消し、返還の請求をすることができるのでしょうか。

 

例えば、債権者Aは100万円の債権を持っていたとします。債務者Bは200万円を別の人に贈与してしまい、100万円を支払うことができなくなっていしまいました。この場合受益者Cを被告に詐害行為取消請求をしますが、200万円渡したこと全てを取消すのでしょうか。それとも、債権者の債権は100万円なので100万円だけ取消すのでしょうか。

次の図のようになります。

答えは、100万円だけ取消すことができます。

条文を読むと、「目的が可分」であるときは、「債権の限度額」だけ取り消すことができるとあります。

つまり、200万円全部の取り消しはできないということです。

 

目的が可分というのは、分割できる財産ということです。そのため、宝石のように分けることができないものについては、「不可分」ということになります。

不可分な財産の場合については、全て取り消すことになります。

 

 

価額の償還の場合

424条の6で価格の償還という場合を解説しました。償還というのは宝石などを贈与して、紛失、改造等で返還ができない場合に代わりにお金で支払うというものでした。

 

424条の8の2項では、償還の場合の取り消し請求の限界も、「債権の限度額」までとなっています。そのため、贈与した宝石が500万相当で、債権が100万円だとすると、宝石がなんらかの理由で返還できず、価格の償還となる場合には、宝石の金額の500万円ではなく、100万円の取り消し請求となります。

図にすると次のようになります。

宝石は本来「不可分」の財産で、全部取消の対象ですが、価格の償還となることで、「可分」することができるようになるため、100万円の取消となります。

もちろん、債権者が600万円の債権であった場合は、500万円全ての償還となりますが、100万円の債権しか持っていない場合は、債権の限度額である100万円となります。

 

 

まとめ

424条の8は、従来の判例を明文化したものになっています。詐害行為取消請求といえども、全てを取消することができるわけではなく、「可分」の財産の場合、債権者の「債権の限度額」までしか取消請求することができません。

 

価格の償還をする場合も同様です。また、財産が「不可分」(宝石などのもの)の場合には全て取消しとなります。

 

 

 

 

 

 

 





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