法改正

【連帯債務者の一人による相殺等】民法改正2020年4月1日施行の基本と要所の解説(第439条)

 

 

〔改正前民法〕
(連帯債務者の一人による相殺等)
第436条
1 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。
2 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者が相殺を援用することができる。

【改正後民法】
(連帯債務者の一人による相殺等)
第439条
1 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
2 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

 

改正後439条の内容は、改正前では436条に書いてあったものが、移動してきたものです。従来の内容で議論があったものに決着がついたような形で法改正がされました。

 

 

439条1項のポイント

439条は連帯債務者の中の1人による相殺について書かれています。連帯債務者というのは、複数人が同じ債務の債務者となるルールのことです。

 

よく間違えらえれる連帯保証人と連帯債務者の違いというのは、連帯保証人は1人が債務者でもう1人は保証人という形を取っており、債務者がなんらかの理由で返還できないときは、保証人が返済を肩代わりするという制度です。

 

例えば、住宅ローンの場合連帯保証人は、債務者ではないので住宅ローン控除を受けることや団信に入ることができません。

 

これに対して、連帯債務者というのは、例えば、夫婦で住宅ローンを組むような場合に、夫が主たる債務者となり、妻も連帯債務者として両方債務者となることです。この場合両方とも債務者なので、保証人と違い、住宅ローン控除を受けることもできます。

 

債権者は連帯債務者に対して債務の履行を求めることができます。

 

このような連帯債務者に対して、相殺という考え方があります。これが439条です。

 

例えば、債権者Aが連帯債務者B,C,Dに対して、100万円の債権を持っているとします。

しかし、連帯債務者の1人であるBが債権者Aに対して、10万円の債権を持っていたとします。Bが相殺の意思表示(相殺を援用)をすると、100万円の債権は相殺され、残り90万円の債権となります。

 

この効力がなんと連帯債務者B,C,D全員に適応され残り90万円の債務となります。これが、条文にある「全ての連帯債務者の利益のために消滅する」の意味です。

 

この時、債権者は残り90万円をBだけに請求することも、わけて請求することもできますが、連帯債務者誰に対しても100万円を請求することはできません。

 

逆にこんなことがあるかはわかりませんが、連帯債務者Bが200万円のAに対する債権を持っていたとし、AはBに対して、100万円の債権しか持っていなかったとすると、Bが相殺の意思表示をするとAがもつ100万円の債権は無くなり、他の連帯債務者の債務もなくなります。

残るのは、BのAに対する100万円の債権だけになります。

 

 

439条2項、相殺は他の連帯債務者が勝手にできる?

連帯債務者とは、一つの債権に対して、複数の債務者がいることでした。複数の債務者を立てることで、債権者としては万が一のとりっぱぐれの可能性が少なくなるため、信用されやすくなるというメリットがあります。

 

そんな複数の債務者がいる連帯債務者という考え方ですが、その中に債権者に対する債権を持っていると相殺をすることができました。

 

連帯債務者というのは、一連托生のような関係ですので、他の連帯債務者が債権者に対する債権を持っている連帯債務者に、「相殺してくれよ」と言いたくなるかもしれません。

 

このような場合に、他の連帯債務者は勝手に相殺をすることができるのか、ということが書かれたのが、439条の2項です。

 

なんと改正前では、相殺の援用ができるとなっていました、つまり他の連帯債務者に相殺権があったといえます。

しかし、改正後には、「他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる」と相殺しないなら、相殺できる限度額の支払いはしないと、拒絶できるという内容に変わりました。

 

結果としては、相殺できる債権があるなら使ってくださいという内容なのですが、勝手に相殺できるのと、相殺しないならその部分に関しては、支払いませんでは意味合いが違うという変更点になります。

 

 

まとめ

439条では連帯債務者の中の誰かが、債権者に対して債権を持っており相殺できる場合についての内容でした。

 

1項では、債権を持つ連帯債務者が相殺の意思表示をすると相殺され、その結果は他の連帯債務者にも影響します。

2項では、債権を持つ連帯債務者が相殺しないとき、改正前では勝手に他の連帯債務者が相殺できましたが、改正後では相殺分に関しては、支払わないと拒絶という内容に変わりました。

 





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