法改正

遺留分の見直しについて(民法1042条~1048条)

現行制度の下で遺留分減殺請求権の行使が行われた場合、その対象となった相続財産について共有の状態が発生します。共有物は、単独所有物と比較すると処分が困難です。例えば、土地を売却するにも共有所有者の同意の署名、押印が必要で、共有者の同意が得られなければ売却は出来ません。

 

 

遺留分減殺請求によって生ずる共有状態は、通常、被相続人の意思とは異なる内容の共有状態になるわけです。例えば、事業用の土地などを長男に承継させたいのに、次男が遺留分減殺請求を行い、その相続する事業用の土地が長男と次男の共有名義となってしまっては、その土地を売却するにも、賃借するにも、その事業に携わっていない次男の同意が必要となり、タイムリーな事業展開の妨げになってしまいます。

 

そこで今回の改正により、遺留分減殺請求は金銭で全て行えるよう改正されます

 

 

改正後遺留分関係 参照条文

遺留分の帰属及びその割合

第1042条

1 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。

 一 直系尊属のみが相続人である場合:三分の一

 二 前号に掲げる場合以外の場合:二分の一

2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第900条及び第901条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。

 

 

遺留分を算定するための財産の価額

第1043条

1 遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする。

2 条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。

 

 

第1044条

1 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

2 第904条の規定は、前項に規定する贈与の価額について準用する。

3 相続人に対する贈与についての第一項の規定の適用については、同項中「一年」とあるのは「十年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。

 

 

第1045条

1 負担付贈与がされた場合における第1043条第1項に規定する贈与した財産の価額は、その目的の価額から負担の価額を控除した額とする。

2 不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみなす。

 

 

 

遺留分侵害額の請求

第1046条

1 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

2 遺留分侵害額は、第1042条の規定による遺留分から第一号及び第二号に掲げる額を控除し、これに第三号に掲げる額を加算して算定する。

 一 遺留分権利者が受けた遺贈又は第903条第一項に規定する贈与の価額

 二 第900条から第902条まで、第903条及び第904条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額

 三 被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、第899条の規定により遺留分権利者が承継する債務(次条第三項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額

 

 

受遺者又は受贈者の負担額

第1047条

1 受遺者又は受贈者は、次の各号の定めるところに従い、遺贈(特定財産承継遺言による財産の承継又は相続分の指定による遺産の取得を含む。以下この章において同じ。)又は贈与(遺留分を算定するための財産の価額に算入されるものに限る。以下この章において同じ。)の目的の価額(受遺者又は受贈者が相続人である場合にあっては、当該価額から第1042条の規定による遺留分として当該相続人が受けるべき額を控除した額)を限度として、遺留分侵害額を負担する。

 一 受遺者と受贈者とがあるときは、受遺者が先に負担する。

 二 受遺者が複数あるとき、又は受贈者が複数ある場合においてその贈与が同時にされたものであるときは、受遺者又は受贈者がその目的の価額の割合に応じて負担する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

 三 受贈者が複数あるとき(前号に規定する場合を除く。)は、後の贈与に係る受贈者から順次前の贈与に係る受贈者が負担する。

2 第904条、第1043条第2項及び第1045条の規定は、前項に規定する遺贈又は贈与の目的の価額について準用する。

3 前条第1項の請求を受けた受遺者又は受贈者は、遺留分権利者承継債務について弁済その他の債務を消滅させる行為をしたときは、消滅した債務の額の限度において、遺留分権利者に対する意思表示によって第一項の規定により負担する債務を消滅させることができる。この場合において、当該行為によって遺留分権利者に対して取得した求償権は、消滅した当該債務の額の限度において消滅する。

4 受遺者又は受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰する。

5 裁判所は、受遺者又は受贈者の請求により、第一項の規定により負担する債務の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。

 

 

遺留分侵害額請求権の期間の制限

第1048条

遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

 

遺留分に関する改正の要点

・遺留分減殺請求は『現物』ではなく、『金銭』で全てやり取りできるようになった。

※今までは遺留分減殺請求の行使によって、物権的効果が発生するとされていましたが、これを債権へ変更しました。(金銭の請求権に変更)

・受遺者の請求により、裁判所が金銭債務の全部又は一部の支払いにつき期限を許与する事が出来るようになりました。

 

 

 

 

法改正

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