年々増加する児童虐待は平成29年度は過去最悪の件数に達しました。平成30年度も更に増加の見込みとなっています。児童虐待を減らすには「近所の目」が大切になってきます。子供の変化を素早く察知するためにも虐待されている子供の様子や虐待を受けている変化の兆候を見抜く必要があります。
見過ごされてきた虐待の兆候とは?
虐待だと思わず見過ごしてきた子供の行動とはどのようなものがあるのでしょう?
昼間親が子供の頭を叱るたびに叩いている
これはしつけの一環として「頭を軽く(本人は軽くと思ってないかもしれない)叩くのであれば仕方がない」と思っていました。しかしよく考えてみると外の人目がある中で子供を叩くという事は、普段から「叩きなれている」可能性があります。また傍目から見えている「叩く強さ」は叩かれた本人にしかわかりません。このように考えると日常的に叩くという行為を4行っている可能性があり、これは虐待にあたるのではないかと考えられます。
いつも汚い服装
子供がいつも汚い服装でいる事に対して私たちは「元気があっていつも外で遊んでいるな」「きちんとしつけがされていないな」「子供自身の問題だ」と考えがちではありますが、この事に違和感を覚えなくてはなりません。
人の価値観は様々ですがいつも汚い服装という事は「着替えさせていない」「ほったらかし」「子供に関心が無い」等が考えられます。またこのような背景には虐待の可能性があり親が放置したり親が怖くて家に居たくなくて仕方なく外に出ているのかもしれません。
子供が夜遅くに出歩いている
子供が夜出歩いているのを見ると「しつけが出来ていない」「非行に走っている」などとみてしまいがちです。ですがこのような行動をする背景には虐待の可能性があります。
上記のような子供の行動には注意し、虐待の可能性があるかもしれないと考え見る様にしましょう。
虐待の兆候と考えられる子供の様子とは?
子供に対して「なにか変だな?」と思う違和感は虐待の可能性があります。虐待の兆候と思われる子供の様子には次のようなものがあります。
1 不自然な傷がある
虐待を受けると不自然に身体に傷ができます。遊びで出来たような傷は足の膝から下に多くできます。腕であれば肘から下の手の平までに傷が出来ます。子供はよく転びますが、大抵は前転びが多く、手や膝などに擦り傷を負います。顔・肩・腕・背中・お腹といった所の傷は虐待の可能性があると思い見るようにしましょう。
2 成長が遅い感じがある
特別な病気ではないのに伸長が伸びていなかったり(平均身長よりかなり低い)、体重が増えていなかったり(異様に痩せている)する。子供の成長は個人差が出ますが、虐待は成長の妨げになる事は証明されています。異様に背は低かったり、痩せている場合は注視してください。
3 いつも清潔感がなく不潔な状態にある
子育てを放置している可能性があります。子供は家に帰れば必ず風呂に入り、着替えをするはずです。その通常行うであろう生活習慣が出来ていない事に違和感を持つことが大切です。
4 虫歯が多い
他人の子供の口中などはあまり見ないと思いますが、笑った時などは子供の歯を見る様にしましょう。通常行う生活習慣が出来ていない事は子育てを放置している可能性があります。
5 食事に関して
食べる事に関して異常な執着があったり、食い意地が過ぎると感じる。子供は大抵食い意地が張っているものですが、食事を満足に与えられていない場合、食べ物に異常な執着があったりします。
6 表情が乏しく笑顔が無く喜怒哀楽の表現に子供らしさを感じない
虐待を受けている子供は精神的な成長が阻害され表情が乏しくなります。子供らしさを感じない表情をする子供はやはりなにかあるのかもしれません。
7 おびえた泣き方をしてビクビクしているように見える
虐待を受けている子供の泣き方というのは、いつも泣いているので泣き方がどこか違和感があります。大泣きするような泣き方ではシクシクと怯えた泣き方をする子供には注意が必要です。
8 集中力が無い様に見える
集中力が無いような病気もあるので一概には言えませんが、虐待を受けている子供は心に傷を負っており、どこか集中力が無い様に見えたりします。
9 ぼーっとしていることが多い
何をしてても上の空でぼーっとしているように見える。
10 幼稚園で教わるような基本的な生活習慣が身についていない
幼稚園や保育園では日常生活で行う生活習慣を身に付けさせてくれます。そのような生活習慣が身についていない子供は注意して見る様にして下さい。
11 季節に合わない服装をしている
冬なのに薄着・半ズボンだったり、雨が降っているのに普通の靴だったりなどしている。
12 衣服を脱ぐことに対して異様な不安感を見せる
服を脱ぐことに不安感を抱く子供は身体的な虐待を受けている可能性があります。体のあざなど注意して見てください。
13 他の子供に対して叩いたりつねったり乱暴な行動をとる
親にされている事は子供は真似します。身体的な虐待を受けている子供は、暴力で人を支配できると思ってしまい、自分の思い通りにするため他の子供に対し自分がされているような暴力を使う傾向があります。
14 大人の顔色を伺うような目つきをする
いつも怒られている子供は自己防衛のためにこのようになってしまいます。
15 他の子供と上手に関われない
虐待を受けている子供は他の子供とのコミュニケーションがうまくとれません。
16 家に帰りたがらない
家に帰りたがらないのは理由があるはずです。虐待の可能性を疑ってみてください。
17 夜遅くまで外にいる事が多い
非行行為だとは思わずに家に帰りたくない理由があるかもしれません。
私たちの役割として
上記のような様子であると虐待の可能性があります。家庭によって育て方は千差万別ですが、虐待の定義と種類が定められ、子供に対する体罰は法で禁止されます。
「しつけ」と「虐待」は紙一重かもしれませんが、虐待による重大事故が多く起こっていたり、虐待を受けた子供が大きな傷を背負って生きていかなければならず、そのような傷を負った子供はなかなか社会に適応出来ずに苦しんでいる現実があります。
他人の子供に対する「しつけ」や「教育」に対して自分と違えば見て見ぬ振りをしてしまいがちですが、児童虐待は今後も増加すると考えられ、少しでも虐待を減らすためには私たちが虐待に対する意識を持ち対応していかなければなりません。