法改正

【意思表示】民法改正2020年4月1日施行の基本と要所の解説

意思表示 民法改正 2020 4月

 

改正民法97条【意思表示】について。

 

意思表示というのは、一定の法律効果の発生させる意思の表明です。例えば、スーパーでリンゴを買うときに「買いたい」とレジに持っていきます。これが意思表示です。互いの「買いたい」と「売りたい」が一致すれば、「売買契約」という法律効果を発生させる契約が結ばれます。

 

しかし、意思表示はいつから効力を発生するのでしょうか?例えば、郵便で相手に賃貸契約書を送ったとしましょう。いつの時点で効力が発生するのでしょうか?今回は意思表示の効力の発生について書かれている第97条について、民法の改正点を解説していきます。

 

第97条の改正前はどうだったのか

  • 遠隔地に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる
  • 遠隔地に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない

 

97条は従来、遠隔地に対して、通知が相手に届いた瞬間から発生するとなっていました。つまり、郵便で送った場合は相手に届いたときが意思表示となります。また、意思表示を送ってから亡くなった場合も、効力は持続するとなっていました。

 

しかし、例えば、通知が届くのを相手が妨害した場合はどうでしょうか?例えば、郵便物の受け取りを拒否している場合や、メールを迷惑メールに入れて連絡がつかない場合です。

いつまで経っても、意思表示ができないということになってしまいます。

 

様々な問題を受けて、次のように改正されました

 

改正後の第97条

  • 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる
  • 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときには、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす
  • 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない

 

大まかな変更点としては、「遠隔地」という文言が削除され、遠隔地の場合という限定ではなく、意思表示全般を表す条文へと変更しました。

 

また、旧条文の第2項が第3項に変更し、第2項が新設されました。

 

変更された第1項のポイント

第1項は従来、遠隔地の意思表示についてのみを表していましたが、目の前にいる対話者については、規定されていませんでした。しかし、遠隔地が抜けたことによって、目の前にいても到達した瞬間に効力が発揮されると明文化されることになります。なので今回の改正では、例えば、相手方が耳が聞こえない(難聴)の場合に、肉声で意思表示をしても意味がないことがわかります。

 

目の前であっても、相手に届いた場合が意思表示であるということがわかるようになりました。

 

 

新設された第2項のポイント、到達が妨害された場合

相手方が意思表示を到達することに対して、正当な理由なく拒絶した場合、意思表示した表意者は不利益を被ることになります。そのため、意思表示が妨害された場合において、正当な理由がない場合は、本来到達すべきで時に到達したものとみなすようになりました。

 

みなし到達により、意思表示の効力が拒絶された場合でも発揮されるようになりました。

 

このみなし到達の場合も、第1項と同じように、到達した時から意思表示の効力が発揮されます。

 

 

変更された第3項のポイント

旧条文の第2項で、意思表示は、死亡したり、行為能力の制限をされても効力は消滅しないとされていました。これは、発信した段階で意思表示は、完了しているという考えから来ています。

改正された新民法では、同じ論理で意思能力が喪失した場合でも当てはまると明文化されました。

 

行為能力というのは、契約などの法律行為を単独で確定的にできる能力のことを言います。

逆に行為能力の制限というのは、行為能力が制限されている人、つまり未成年者や成年被後見人など、判断能力などが十分ではないと考えられる場合です。

 

意思能力の喪失というのは、行為能力が単独で行為能力を行えないものを保護する目的あるため、法律により決められているのに対して、一つ一つの問題となる行為に対してその状況から判断されます。

そのため、意思能力は「自己の行為の法的な結果を認識・判断することができる能力」とされています。

意思能力がないものがした行為は無効になると考えられています。

 

行為能力

意思能力

対象

未成年者や成年被後見人

被保佐人、被補助人

精神病や認知症、泥酔者など

認定方法

制度的に定められる

1つ1つの行為ごとに判定する

 

 

まとめ

意思表示という契約にとって重要な要素は、改正第97条で遠隔地だけでなく、意思表示という行為そのものが、相手方に到達した瞬間から効力が発揮されると明文化されました。逆に言えば届かない、意思表示は、意思表示にはなっていないということです。

 

しかし、相手方が正当な理由なく届くことを妨害した場合はこの限りではなく、本来届いたとみなされるタイミングから効力を発揮します。

また、発した瞬間から意思表示をしたものと考えられていますが、届く前に死亡したり、行為能力を制限されたり、意思能力を喪失しても、相手に届けば意思表示として効力を発揮します。

 

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